加藤整骨院の寝違え対応
- 頭部・頚部の症状
- 2021.07.30
先日、かなり強度の寝違え患者さんがいらっしゃいました。
捻挫が強すぎて肩のバランスまでおかしくなっています。首を寝違え(捻挫)するとなぜこのようなことが起きるのか簡単に説明します。
頭、頚部の筋肉は体幹の骨と密接に絡み合う
図は一部の頭頚部の筋群を紹介したものです。まだまだ沢山の筋群がこの頭頚部だけでも複雑に絡み合っています。そのうちビジュアルでも解りやすい筋群を抜粋してご紹介しましょう。
1 僧帽筋
後頭部から起こって肩甲骨まで伸びています。また背骨のかなり下部の方(胸椎12番目)まで伸びています。
2 頭板状筋
側頭骨の終わりから頚椎3番目~胸椎4番目にかけて筋群が走行しています。
3 肩甲挙筋
頚椎1~4番目の骨の突起部分から肩甲骨にかけて束になり走行しています。
4 胸鎖乳突筋
後頭骨、側頭骨から鎖骨、胸骨にかけてかなり強靭な筋群で走行しています。
このように体幹部と頭頚部の筋群は絡み合っているものですから、例えば頚部と関わり合う肩甲骨に不具合が出たりすれば、当然頚部の動きにも影響がでてきてしまうわけです。寝違えと聞けば簡単に思うかもしれませんが、度が過ぎると今回ご紹介した患者さんのように肩が引きつれ首を傾げ、動かすことができず身体ごと振り向くような状態になってしまいます。そして痛みは激痛です。
専用の治療器具でアプローチ
今回の場合は頭骨、頚椎の関節に問題が発生しているので、まずこのような治療器具で関節のアライメントを調整していきます。パチッと衝撃がありますが卵も割れないような極微小な力なので安全です。
また次のような治療器具で筋肉にトリートメントを施します。撫でるように優しく施していきます。
1回目の治療でここまで回復しました
治療はまだ必要になりますが、上記の治療器具を用いて処方したところ、次の動画のように改善がみられました。もちろんこの患者さんの若さや回復力に期するところがありますので、寝違え患者さん全員がこのようにいくとは限りません。
1日おいて二回目の治療ではほぼ回復しました
寝違えは首だけの問題ではない
寝違えは首の捻挫と皆さんが思っていますが、今回ご説明したように背骨や肩甲骨、鎖骨など筋肉と複雑に絡み合っているので、頚部だけをみていると本質的な回復を遂げることが出来ません。
また、肩甲骨についている筋肉は腰骨まで伸びたりする筋群がありますし、鎖骨から起こる筋群は上腕まで伸びたりもします。また上腕から伸びる筋群は反対側の股関節までクロスして連絡しています。
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寝違えといえども頚部の狭い範囲で完結する事はなく、全体を見渡し治療を進めていく必要がありそうです。この背骨の解剖図をみれば解りますが、頚椎と言っても脊椎の上の方の7個を呼び方で区分しているだけで、実際は腰の骨まで続く1つの「脊椎」というユニットなのです。そのユニットの中でたった一つの椎骨だけが歪みの異常をきたすことのほうが難しく、土台からの影響を受けて脊椎全体に問題が生じ、頚椎の一部に最終的な問題がでる、ということのほうが多いです。
なので、頚部の応急的な処置をして激しい痛みや機能障害を取った後は、全身のバランスを調整して治療が完了します。
寝違えや首の痛みでお困りの方、どうぞご相談ください。
※解剖図はヒューマンアナトミーアトラスより