ストレートネックは病気ではない
- 頭部・頚部の症状
- 2014.11.05
肩こりの原因?ストレートネックの真相に迫る
急な肩コリや頭痛などが起きて、病院に診察に行くと、レントゲンを撮られ「ストレートネックですね」と診断をつけられるケースが多くなっています。若い女性を中心に急増していると最近の新聞記事にも書かれていました。このストレートネックとはいったいどういった症状なのでしょうか。定義を調べてみました。
ストレートネックとは
ストレートネックとは、クビの骨の配列が直線状になる事(頚椎の生理的前彎の消失)をいう。長時間デスクワークを行う人に多く見られ、肩こりや頭痛の原因となるもの。
つまり、通常の人は頚椎に生理的前弯を持っているのが普通であるものの、その弯曲が減少して真っすぐの状態に見えるものを「ストレートネック」と呼んでいるようです。
中には前弯角度30度未満のものをストレートネックと定義する方もいます。
症状は首や肩のコリ、頭痛、めまい、手足のしびれなどがあります。
当院にも「以前病院でストレートネックだと診断された事がある」と絶望的な面持ちで来られる方がこれまた多く、少々困っています。なんせ、頚椎の弯曲が良くなる事はないと言われてしまいますからね。
患者さんとしては「一生この肩コリと付き合っていかなくてはならないのか…」とガックリするのも当然です。
しかしこのストレートネック、本当に肩コリや頭痛の原因なんでしょうか。
頚椎の前弯はほんの2~3カ月で消失するのか?
ところで、病院に行く決心をする時は、相当に肩コリや頭痛が辛くなってからという方が多いと思いますが、早い方で1~2週間、一般的には2~3カ月この症状を経てから限界を感じて通院となります。
そこでズバリ「ストレートネック」とお墨付きを頂くわけですが、ここで疑問を感じて下さい。頚椎の前弯が成長の止まった大人になって、わずか2~3カ月でまっすぐに変形するのでしょうか?
そんな事は起こりえません。大人になってから短い期間で頚椎が大幅に変形するというのは、相当な病変状態でいないと起こりえない事です。
私達は母親から産み落とされて、長い年月をかけて少しずつ成長し今の形を決定してきました。
生きてきた生活環境によって背骨の形だって人それぞれです。頚椎の角度が30度を境に病気か病気じゃないかなんて何を根拠にいってるのでしょうか。
こちらの写真を見て下さい。首長族というミャンマー地方で生活している部族です。
この世の中に、彼女たちほどスーパーストレートネックの人間は存在しないでしょう。
現代医学の定義では、頚椎の弯曲が無くなり、縦に伸びる程症状が強いということですから、彼女達クラスになると激しい頭痛、立てない程のめまい、何も持つ事が出来ない程過敏な両手の痺れがあっても良いようですが、まったくそんな事は感じさせない程素敵なスマイルですね。
いったい彼女達をどう説明するんでしょうか。ストレートネックが肩コリや頭痛の症状を出す…、つまりそれは何も根拠がないし事実ではないということです。
この診断名をつけられて肩をがっくり落としている方、もう落ち込む必要はありませんよ!
肩コリを起こす原因となっている生活習慣を改め、適切な対処を心がけていれば1~2週間でほとんどの方は治まります。
症状はどこからくるの?
ストレートネックがなぜ急増しているのか?各種の記事を検索していると、
1.ノートパソコンの見過ぎ
2.スマートフォン急増に比例してストレートネックの急増
3.長時間のデスクワーク
などが原因とあげられています。どうも2のスマフォ急増に付随した話題作りのために騒ぎ始めた感があります。長時間のデスクワークやパソコンをみるなんて今に始まったことではありませんから。そうなると姿勢が悪くなり、頭を前に下げてパソコンなどをのぞきこむ様ないわゆる猫背姿勢が、このようなストレートネックを作り上げるという話です。
しかし私は先ほど、そんな短期間で頚椎の弯曲がみるみる変わるなんてよっぽどの病変がないとあり得ないと完全否定しております。ではこのような症状はどこから来るのか。
試しに今頭を下へいっぱいに向け、1分間我慢してみて下さい。首の根元がジーンと感じてくるはずです。これが1日、あるいは1週間続くと考えてみて下さい。痛くなって当たり前です。頭は5~6キロもあるんですよ。
ボーリングでいえば11ポンド、2Lペットボトル3本分の重さをずっと首の筋肉にぶら下げていることを想像してみましょう。だから頭は周りの筋群や関節に負担をかけないためにつり合いバランスよく頚椎に乗っているんです。
それを自ら乱して毎日続けていれば痛くなるのも当たり前でしょう。痛みは悪ではありません。正常な体の証しである“警告”です。
また、液晶画面を長時間見続けることは頭痛を起こす原因となり得ます。以前にポケットモンスターのアニメを見ていたら、フラッシュシーンで子供たちが失神してしまったというニュースが報道されていました。
子供の小さな脳容量に、一瞬で光の情報が入力されてしまって脳がパニックを起こし機能を遮断するといった内容です。大人は子供より脳容量が大きいとしても、パソコン画面などからそれを毎日やっていれば“蓄積”という問題に当たります。
一瞬で失神するような状態とは違い、じわじわとそれに近づく症状の出かたですから、段々と頭痛がしたり、段々とめまいを起こしたりと、長期戦になるため精神的にも疲労してしまうのです。
そもそも、肩コリ、頭痛、手足の痺れをすべてひとつの原因に纏め上げようとする事自体、整形外科の怠慢としか思えません。とにかくレッテルを貼られて落胆されている方は呪いをかけられている様なものなので、事実無根と確信し今すぐ頭から捨てましょう。
カトセイ的対処法
当院ではまず姿勢の改善。画面を見る時間を制限、または連続で見ない事。痛い場所は氷でアイシングする事、姿勢を維持できるような筋群を身につける事、でほぼ解消します。
毎日の物理的な外力の蓄積で起こしてしまう症状を、お薬(物質)でなんとかしようとか、ペタン湿布で治そうなんてよく考えればそれが本末転倒な事に気づけるでしょう。ましてやストレートネックが原因と診断しながら首を牽引する整形外科もあるようですが、もう言葉を失います。
余計に伸びちゃうといったイメージは出来ないものなんですかね…。
疾病の克服は疾病形成因子の除外が基本中の基本。後は自己治癒力を最大限に活かす環境づくり。これが不変の法則なのです。