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院長コラムcolumn

自転車は腰痛を作る?

  • 腰部の症状
  • 2014.11.10

自転車は腰によくない??

健康のために運動しましょう!そう言われて色々と運動を始めることでしょう。
今は腕に音楽再生プレーヤーを巻いて、ランニングをするのが流行っていますね。あとは、何万円もする高級自転車でのサイクリングが流行っているようです。「いつもは車での移動を自転車で」そう言われると、確かに健康そうです。

しかし、自転車の常用には思わぬ落とし穴があります。

競輪選手は腰痛症がとても多い!

競輪選手は、腰痛症が多いことで知られています。練習中の痛みに対処するため、過去には自転車のゴムチューブを腰にグルグル巻いて対応していました。それが、腰のゴム式コルセットに応用されていったと言われています。

筋骨隆々の足腰を持っているにも関わらず、激しい腰痛症で悩んでいる選手が多い…。これはどういったことなのでしょうか。

まずは腰の仕組みを知ろう!

自転車は腰痛を作る?

上の図は腰周辺の骨格です。真中の三角形の骨が仙骨、両方の大きな扇状の骨が腸骨、腸骨の下で接してる骨が大腿骨です。

仙骨の上にWの文字がありますが、これはウエイトを指していて、上半身体重20~30kgが背骨に集約し、仙骨に乗っかるという意味です。まるで、ヤジロベエのように上半身を一本の棒で支えているような構造をしています。

そして、上からかかる重さを支えるため、足裏から抗力がかかり、大腿骨を経由して、腸骨で三角形の仙骨を挟み込むことで、直立することが出来るのです。

自転車は腰痛を作る?

ワインコルクに似ていて、栓するときに三角形のコルクをギュッと口に押し込み安定させるようなイメージです。
もし、ワイン瓶の口がコルクより大きすぎたり、また押し込む時に瓶が不安定だった場合、コルクでしっかり栓をすることができません。下が安定して、上からまっすぐ力がかかった時に、初めて安定した強い栓が出来るのです。

人の体も同様に、上からまっすぐに上体重がかかり、下半身が安定のもと受けなければ、しっかりと直立することができないのです。このような挟込み関節をテーパジョイントといいます。

自転車のサドルが、テーパジョイントを壊してしまう!?

自転車は腰痛を作る?

腰の安定は、上体荷重を仙骨で挟み込んで成り立っていることはお解りいただけたでしょうか。しかし、自転車はこの挟込みジョイントに悪影響を及ぼします。
恥骨をつなげている軟骨の、恥骨結合という柔らかい部分に、ちょうど自転車のサドルが喰い込むのです。

下から恥骨部分の結合に対して離開力を働かせ、その力は仙骨と腸骨の挟み込み関節部分も離開させてしまいます。いわゆる捻挫の状態です。

こうなると、知らずと腰に力が入らなくなったり、腰痛症が発症したり、歩くスピードが遅くなったり、疲れやすくなっていきます。

絶対自転車はダメなのですか?

自転車に乗ることが絶対ダメなわけではありません。

ただ、これには個人差があります。長年自転車に乗っても腰も痛くならないし快調の方もいるでしょう。その方は、元々足腰がとても丈夫だし、自転車以外にも運動をして腰の機能を保っていることでしょう。

しかし、50m先のスーパーにも自転車、目前の自動販売機にも自転車、と移動手段がすべて自転車で、それ以外に特に運動していないというなら、注意が必要です。やがて不安定になり、症状をだすことでしょう。
また、腰の状態が不安定であれば、1回乗っただけでも腰痛が発症することもあります。そもそも腰が痛いのであれば、自転車には乗らないほうが賢明です。

自転車に乗れば、少なからずダメージを刻みます。よって、腰のダメージを回復させるような運動や対処法とバランスがとれなければ、やがて体を蝕んでいきます。競輪選手は、それが職業なのでどうしても自転車に乗る時間が超人的に長いですから、ダメージが蓄積し腰痛症を発症するのです。

また、最近女学生に見られる異常な生理痛や婦人科系の問題は、自転車通学が大きく影響していると言われています。
それでは、回復させるための運動や対処法には、どんなものがあるのでしょうか。

そもそも腰はなぜこんな構造をしているのか?

自転車は腰痛を作る?

上からの力を、下から挟み込んで安定させる…。そもそも人の腰はなぜこのような構造を作り上げてきたのでしょうか。
それは、人が二本足で歩くからです。両腕を自由に使い、二足で移動する方法を選択したために、腰のドッシリとした安定が必要だったのです。

猿やチンパンジーから、ゆっくりと二足歩行に対応するように変化し、何千年という歴史をかけて人間になったわけですね。要するに、二足で歩くことに適応するため、人の体はこのように変化してきたので、歩くことが少なくなれば、バランスを崩し、回復させる機会が少なくなるわけです。

まるで歩かなくなってきた現代人は、腰が細く弱くなってきています。その状態で移動手段が自転車だけになってくれば、身体を壊すことも必然です。まずは何より歩くことが一番の薬です。

挟み込み関節をより強化させる体操!

当院で処方しているスクワット運動、通称“WB体操”というものがあります。両足を均等に定め、ゆっくりと立ち上がることにより、挟込みを強化させ、腰の安定を強くしていくものです。自転車で壊した方には、ほぼ皆さんに指導して実践してもらっています。

通常のスクワット運動とは少し違いますので、興味ある方は当院へお越しください。直接指導いたします。
※但し症状によっては向かない方もいます。

痛くなってしまったらアイシングが重要!

自転車は腰痛を作る?

自転車に乗った後に、腰に違和感や痛みを感じるのであれば、すぐにアイシングを実行することで、その後の炎症をかなり防げます。痛くなった局所には炎症反応が起きています。

読んで字のごとく“炎”ですから、速やかに除熱することが大切です。自転車以外でも、何かの後に腰や関節に痛みが出るのであれば、速やかにご自宅でアイシングするようにしてみてください。

その際、アイスノンなどのジェルパックではなく、氷水で冷やすことが肝要です。

今回のおさらい

1.人の腰は挟み込み関節である。
2.挟み込み関節であるため、サドルによる下からの突き上げにより、関節不安定にさせてしまう。
3.腰痛だけに留まらず、婦人科系疾患などにも影響している。
4.自転車がダメというのでなく、回復させる対処法とのバランスが大切。
5.まずは歩行が一番。そしてスクワット、痛くなったらアイシングを実践してください。

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