スキー・スノーボード競技における首の障害の影響4
- コンディショニング
- 2014.12.26
▼前回までの記事はこちら
【スキー・スノーボード競技における首の障害の影響】
http://katosei.com/1783/
【スキー・スノーボード競技における首の障害の影響2】
http://katosei.com/1786/
【スキー・スノーボード競技における首の障害の影響3】
http://katosei.com/1793/
むち打ちのメカニズム3
むち打ちの不具合は、インパクトによる頚椎のスライドを元に戻せば改善していきます。
簡単に言えば、頭を上から“正しく”押さえれば頚椎が元の通りにスライドしていって治まります。しかし、この“正しく”押さえるというのが、治療家の術であって習得が難しい所です。自分で頭を上から抑えてもなかなか上手くいきません。
そこで、自己修復するために効果的な方法があります。
それは何を隠そう「歩くこと」です。カンナの刃を調整したことがありますか?
カンナの刃を調整するには、刃そのものではなくボディーの端を叩いて調子します。
それと同様に、スライドしてしまった頚椎を、足踏みする事で下から突き上げるような力を加え続けると、頚椎は真ん中に治まっていきます。構造上、第一、二頚椎間は三角形に関節していて上に重い頭が乗っているので、そのような力が働きます。
朝軽く寝違えて、夕方ぐらいに治まっていた経験ありませんか?
あれは一日歩いて活動している際に、自己修復を達成した姿なのです。大体の寝違えは、よく歩いていれば治ります。40~50分ぐらいの連続歩行を3~5日継続してみてください。
さらに早く回復させるためには、体操とアイシングが有効です。痛めたところにシップを貼る人が多いですけど、ハッキリいってあれは痛みをスースーした感じでごまかしているだけで、治る力を与える事は出来ていません。
【シップはほとんど意味がない】
→http://katosei.com/1138/
野球選手が氷で大量に冷やすのは今や常識になりましたが、多く使い過ぎたり痛めたりした部分は炎症がつき物ですので、熱で組織が傷まない様にすぐに冷やして鮮度を保つということですね。関節内にある熱の体積をシップ一枚貼ったところでとれるわけがありません。
【温めても血行は良くなりません。アイシングの意味をしっかり理解しよう】
→http://katosei.com/1/
むち打ちで硬く緊張してしまった頚部周辺の組織を滑らかにするために、首の体操を行うと効果的です。
ここで押したり揉んだりするのはお勧めできません。緊張した所を揉みほぐせば一時的に解放された気分になりますが、緊張しているのは頚椎の位置異常をそれ以上悪化させないために張力を増している姿でもあります。
そこを無視して揉んでいると、リバウンドして余計に緊張が高まり悪化することがあります。歩いて自己修復を促せば自然と筋緊張は取れます。
この首の体操は、歩行と併用して効果を発揮するもの。その前提を覚えておいて下さいね。
体操(ネックアクション)のやり方
1.写真のように両掌を合わせ肘を張り背筋を伸ばします。
2.限界の直前。9割の運動可動域で、ゆっくりと左右に首をかしげます。二回づつ行いましょう。
3.同じ要領で左右に二回ずつ回旋します。
4.上下にも二回ずつ運動しましょう。
5.これを2~3周行い、一日3~5セット行います。
無理しておこなってはいけません。最大ストレスの直前までを順守してください。
歩行と体操、アイシングを組み合わせることで、首の不具合をかなり解消することが出来ます。軽いものなら1日でとれますが、おおむねの障害は3~5日の継続がミソです。是非実践してみて下さい。
インパクトが強すぎると、3~5日行っても取りきれない(現状より改善は必ずする)ことがあります。
この場合はプロの手が必要です。
自分ではエッジやソールの傷をリペアできないほどに刻んだ時は、チューンナップに出すと同様ですね。
ただ、チューンナッパーが信頼できないと上手く仕上げてくれないと同様、この業界もレベルの差が激しい所です。
下調べを十分したうえで、医療機関にかかってください。
板と身体のメンテナンス。十分に行ってウィンタースポーツに望んで下さい。皆様にとって素晴らしいシーズンになりますように。
完