宇宙船ソユーズと重力と老化
- コンディショニング
- 2017.06.02
少し前の話になりますが、日本人宇宙飛行士「大西卓哉さん」を乗せた宇宙船ソユーズが10月30日にカザフスタンへ着陸しました。大西さんは今回の宇宙船で、今後の人類に関わる重大な実験を任されていました。それは、常日頃からわたくしが皆さんに指導している内容そのものを実験してきてくれましたので、紹介したいと思います。
地球に到着したばかりの宇宙飛行士たち
ソユーズの着陸はテレビでも沢山やっていましたので、覚えている方も多いと思います。地球に着陸したばかりの飛行士たちは、自力で立ち上がれず、宇宙船からスタッフ総出で引っ張り出され、抱えられて用意された椅子まで運ばれます。
宇宙船では身体が衰えないようにと、様々な訓練を行います。
しかし、無重力空間で負荷がなくなった身体は衰えが止まらず、地球に到着すると自分で立つこともできないぐらいになってしまうのです。つまり、地球の重力はそれほど重いということです。非重力環境では、筋力低下に止まらず様々な病態が進行してしまいます。代表的なものでは骨粗鬆症があります。骨は重力を受けてこそ成長していく組織です。負荷が無くなると骨支持性が失われ、骨内部がスカスカになっていきます。
宇宙は地球の10倍で老化する
大西宇宙飛行士は無重力空間により骨や筋肉の衰えが早くなるということを裏付けるため、マウスを用いて様々な実験を行ってきました。無重力空間で飼うマウスと人工重力環境を与えて育てたマウスの筋骨格を比較し、実験に成功した模様です。実験で解った事は、非重力空間では筋骨格の衰えは10倍速くなるということ。この実験結果により、筋や骨の衰えを防止する治療や予防法を考えることができ、これから迎える高齢化社会への貢献が期待されています。
大西宇宙飛行士のコメント
宇宙で長期滞在し、自分の身をもって加齢現象を体験しました。骨や筋肉に影響を受けるため、毎日2時間30分の運動をしています。今の技術では、コアな筋肉や骨の密度は衰えずに地上に帰還することができます。
ただ、鍛えることのできない小さな筋肉やバランス感覚は、115日間という短い滞在でも失われており、地球に帰還して一番苦労したのは車に乗り込む動作でした。
地上ではあまり意識していませんでしたが、いろいろな体の複雑な機能を利用したとても高度な動きです。
自身の祖父母の姿を思い出し、自身の体が長期滞在により加齢現象が進んだことを体感しました。
抗重力の力こそが生命力ということ
さて、加藤整骨院では予てより「重力に抵抗することが早期回復に通ずる」と話してまいりました。
大西宇宙飛行士が体験した加齢減少は、実は宇宙空間でなく地球上でも起きてしまう事なのです。それが、重力抵抗力の弱体化ということです。高齢化を迎え、当院に訪れる患者さんも様々で、例えば70代の方でも「テニスのやり過ぎで肘が痛い」と訴える方もいれば、痴呆がすすみ自分で歩くことさえできない方もいらっしゃいます。その差はなんでしょうか。
70年間の歳月で、あまり運動せず重力の抵抗力が衰えれば、まるで宇宙空間にいるかのように筋骨格は衰えていき、それは脳の機能にもおよび老化が進んでしまいます。一方、元気に動き回り運動を楽しんでいるような方は、老化が遅く70代になっても元気そのものです。
重力に対する抵抗力は、筋骨格の若さを保つほかに、免疫力や血行、脳、細胞組織も若さを保つため、お怪我や疾病の回復力にも影響があります。
ここで、当院が皆さんに提唱している格言を今一度お伝えしましょう。
重力に抵抗して躍動している姿が若さ
重力に完全に屈服して土に還るのが死
重力に抵抗力を失っていく姿が老い
重力の抵抗力を失えば、それは大西飛行士のように年齢を問わず急速に老化を始めていきます。それは、全身の抵抗力もさることながら、膝や腰などの局所に対しても言えることで、動かさない部分があると、その部分は機能低下し老化していきます。
今、日本はデスクワークが中心で肉体労働がなくなり、交通機関は加速的に発達し、身体を動かす機会が激減しています。文明が進み便利な世の中になったのは事実ですが、動物的な運動能力や生命力は文明の進化と反比例するかのように低下し、若者の疾病、死亡率が増えているのもまた事実です。
加藤整骨院はその現状に警鐘を鳴らすべく、この生命力の肝とも呼べるべき身体と重力の関係性を伝道して14年を迎えようとしています。そして、当院の話を理解し、重力抵抗力をつけていった患者さんたちは、例えばオペを控えているような重大な障害も、奇跡的な回復を遂げてきています。待合室においてある卒業患者さんの声をご覧になり、克服するまでの苦労や経過を知り、励まされ、ご自身がいま患っている疾病回復にお役立てください。
今日の一歩は明日の一歩へとつながります。
私たち人類の所以は、重力が普遍に降り注ぐこの地球上で、直立二足歩行で抵抗し、歩き続けてきたことにあります。歩くと痛みを伴う状態にも、先を見越して“されど歩いてください”と指導することがありますが、急がば回れという言葉もあるように、結果的にそれが早期回復のカギとなります。
みなさんがお忙しいのは重々承知ですが、大西飛行士が身をもって警鐘してくれた事を無駄にしないよう、時間を作って歩きましょう。カトキチでした。
編集後記
カトセイが存続する意味
今回は当院が存在する肝というべき内容に触れました。重力に抵抗し躍動する姿こそが若さ。どんなにエステに行っても高級な化粧品を使っても、重力抵抗力を失っては本末転倒で、若さは保てません。まずは人類の基本となるべく直立二足歩行を行い重力抵抗力をあげていきましょう。季節は5月。もう少しすると梅雨が来て気温も高くなり、外で運動し辛くなります。この春先と秋が一番歩行に適した季節です。今日からできる事です。早速始めていきましょう。ついつい、文章に力が入ってしまったカトキチでした。思いよ、皆さんに届け!
院長:カトキチ