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院長コラムcolumn

自然なお産をしてほしい

  • その他の症状
  • 2022.07.16

こんにちはカトキチです。
実は先日元気な女児が産まれ、46歳にして父親になりました。もう子供は出来ないかなと諦めかけていた頃に、コウノトリが幸せを運んできてくれたようです。この年になると我が子はもう孫をみる感覚なんでしょうかね。愛おしく神々しく、毎日幸せを味わっています。

ところで、妊娠と出産は動物の自然の営みです。先祖代々、命のバトンを絶えることなく受け渡し今日まで続いているのです。ところが昨今はお産が自然の営みと言えない状況にあります。まるで妊産婦は病気であるかのように病院に通い、何度も検査、その時になれば陣痛促進剤や会陰切開、無痛分娩から帝王切開など、さも当たり前のように医療が介入しています。

そんな医療介入が当たり前になったのはここ最近の話です。もっと長い人類史の中では、母の産む力と子の出てくる力が主体であり、それを見守り介助する産婆さんでお産が成立していました。もちろん医療が介入して、妊産婦や新生児の死亡は低下しました。妊産婦や新生児の死亡率は確かに減少したのですが、その成果ばかりがクローズアップされていて、例えば陣痛促進剤や帝王切開で産まれた児の中長期的な問題については話題にあがりません。ここで知っておきたいのは上記処置の副作用として、自閉症、発達障害、うつ病、肥満、喘息、心筋梗塞や癌といった、 非感染性疾患(NCD)の増加に関与しているという報告があるという事です。

妊娠もお産も病気ではない。
医療の介入はもっと少なくていい。
命の誕生に心から感動する安全で自然なお産であってほしい。

自然なお産を科学的に分析すると、陣痛から初乳まで母子共にどの過程においても、大切な意味があり思わずうなります。今後、できるだけ自然なお産が増えていくように、またこれから母になる若い世代の方に響けと願いを込めて、今回のコラムを書くことにしました。

どこの誰が仰向けでうんこ踏ん張れるのよ

妻が妊娠し、近所に自然なお産を助けてくれる助産院はないかと探し回っていた時に「助産院バースあおば」の産婆さんが私に話してくれた名言です。出産を想像すると、皆さんは仰臥位で専用の台に寝転ぶ「分娩台」を思い描くと思います。しかしあの分娩台こそが大きな問題で一番改善しなくてはいけないといったら驚くでしょうか。たとえば長く便秘でため込んだ便をいざ出すっていうときに、仰向けで踏ん張れる人はまずいませんよね。踏ん張るのなら、便座に座って文字通り両足を地について力を入れる、もしくは和式便所でしゃがみこむと、様式便座に座っているより力が入りやすいのは想像つきます。表現は悪いですが赤ちゃんは便秘の便よりもはるかに大きいのですから、それを仰向けでいきむなんて現実的ではないのです。しかも、さんさんとライトに照らされた自分の陰部の先に、ハサミをもった白衣の人が待ち構えているのですから、いきみづらさと恥ずかしさと怖さの相乗効果でアドレナリンが分泌され陣痛を弱めてしまい、お産が苦しくなり時間がかかってしまうのは当たり前の話です。またこれによって難産になりやすく、医療介入の必要が多く出てきてしまうことも理解に難しくありません。

しかしこの分娩台は医師にとっては都合良いもので、帝王切開や会陰切開などの医療介入をするときに、とても処置しやすい手術台なのです。もしもの時の緊急処置は時間との勝負がありますから、分娩台に乗らざるをえないでしょう。ただ、大多数の健康的な産婦さんは、以上の事からわざわざ産みづらい分娩台に乗る必要はなさそうです。もっといきみ易い自然な体位でお産をする方がツルンと産まれ、安産になります。

お産は「産み落とす」という言い方もあります。産み落とすとは重力の力を利用して産むという事。仰向けでは重力の力が働かないのでお産に必要以上の時間がかかるのです。分娩台が主体になり始めたのは昭和中期以降ですから、実はここ最近の話。それまでは自宅での自然分娩に産婆さんが活躍するのが普通でした。難産が予想される場合にのみ医師が救急バッグをもって自宅に伺うという、今こそ目指すべき理想的な連携を長い間とっていたのです。

母親の産む力を育てたい

ここまで医療側の問題について触れてきましたが、ここからは母親側の問題について触れていきます。お産にはいきむ力、産む力が必要です。どうでしょう、ベビーラッシュだった(筆者もまさにベビーラッシュ時代の子)昭和の母さんたちに比べ、現代人は女性の地位を確立し社会で活躍の場が広がったものの、原始的な力強さに欠けていると思いませんか。現代はとても便利になり、交通網が発達し歩かずとも日本各地に行けるようになりました。普段の掃除はロボットが勝手にやってくれるし、洗濯も乾燥まで自動で行ってくれます。しかしそれは便利という良い面もあれば悪い面も持ち合わせています。

裏を返せば、交通網の発達は自分の足で歩かなくなることであり、当時当たり前であった雑巾がけ(四つ這いで両手に雑巾を抑えつけ床をくまなく駆け抜ける)など経験したことがない方もいるでしょう。不便がゆえに行っていた力仕事が自然と母親の力をつけてきていたのですが、今はそうはいきません。足腰の力が弱ければ「産む力」も弱くなり、いくら自然の分娩を理想としても力が不足しているため、帝王切開の対象となるケースは実際に増えています。

今回お世話になった「助産院バースあおば」は、妊婦さんに積極的に歩くよう指導します。また定期的に近所の草むしりや薪割り体験などをイベントで行い、母親の産む力を養います。妊娠中のお腹が大きい女性に草むしりをやらせるなんて!と思う方もいるでしょうが、実はお産を順調に進ませるための理にかなったトレーニングになっているのです。

またそういったイベントに同級生の妊婦さんたちが集まることでコミュニティーが生まれ、あれこれ話すことで日ごろの不安解消になり、お産した仲間たちの赤ちゃんを抱っこさせてもらえば「次はいよいよ私の番だわ」とその日をむかえる事にワクワクするという精神的にも良い効果があります。

逆に病院に通っている妊婦は孤独であることが多く、そのようなコミュニティーも無いため、お産に対する不安がつのりがちです。その不安が影響して正常な陣痛がこないなどの問題が起きやすいのです。
※精神不安は陣痛に必要なホルモン「オキシトシン」の分泌を弱め陣痛に影響がでます。

無痛分娩の是非

痛みが無いお産ができるならそうしてほしい。陣痛は恐ろしく痛いものと刷り込まされていますから、妊婦たちがそう思うのも無理ないでしょう。日本でも無痛分娩を選択する方がとても増えてきているようです。無痛分娩は一見メリットばかりに思えてしまうのですが、本当にそうなんでしょうか。

平成29年に無痛分娩の処置「硬膜外麻酔」によって母子の死亡や障害が残った事件が相次ぎました。このため同年に厚労省が「無痛分娩の安全対策」を強化した経緯がありますが、依然として硬膜外麻酔が主体であり、そのリスクは極めて高いのです。これによって過度の陣痛が起こり脈拍に異常をきたす他、産道が麻酔によって麻痺するため出産時の赤ちゃんの回旋異常が通常の4倍にもなり、器械分娩や帝王切開の必要性が高くなります。また局所麻酔は胎盤を通過する恐れもあり、胎児が局所麻酔中毒になる可能性があるのでNCPR(出生直後の心肺蘇生法)などの対応が必要となります。そのため無痛分娩は手術や救命救急を想定した物々しい設備と人員が必要となり、産婦さんは手術室に入った途端緊張と不安に襲われ、陣痛が弱まり吸引や鉗子を用いることが前提とされています。

このように絶妙なネーミングで母体に優しいと考えがちな無痛分娩は、いくつもの難関を乗り越えなければ出産にたどりつけません。また赤ちゃんは水の中で過ごす胎内から外に出た瞬間に肺呼吸に代わり、消化機能や内分泌機能も陸上生物様式に切り替わります。これは遺伝子のスイッチが体外に出た瞬間に切り替わっていることを指していて、エピジェネティクスと言います。エピジェネティクスが正常に働くには陣痛からお産までの経過がすべて関わっているとされていますので、無痛分娩により首尾よく難関を潜り抜けたとしても、このエピジェネティクスが正常に切り替わらない可能性があるという問題が長期的について回ることになります。

まっとうな産科医は「こんなリスキーな処置をどうして行うのか」と疑問に考えています。もちろん設備も人件費もかかりますから費用もばかになりません。高血圧などの致し方ない問題があるならまだしも、あなたが健康な産婦さんであったとして、これを読んだ今でも無痛分娩を選択しますか。

産道を通るその時に赤ちゃんは免疫力をもらっている

私たちの身体は膨大な細菌と共生していて、それらが病原菌から身体を守るバリアとなり、また栄養源や免疫機能として働いてくれます。人間を構成する細胞は60兆といわれていますが、腸内細菌だけでもそれの2倍にあたる120兆個が身体の中で生きています。

これらの細菌叢を、赤ちゃんは母親の産道を通る時に譲り受けるようになっています。細菌叢は喘息、心臓循環器系疾患、うつ病などの精神疾患、アトピーなどのアレルギー疾患など、様々な病気から赤ちゃんを守る働きがあります。帝王切開は産道を通らず患部を念入りに消毒するので赤ちゃんは母親から必要な細菌をもらう事ができません。また出産時前後の抗生剤の使用は正常な細菌叢を99%死滅させることがあります。母親は無事にお産する事が最初の目的ですが、我が子の成長はこれからです。長期的に病気にかかりにくい身体で過ごしてもらうためには、産道を通過する自然分娩で母親の細菌を譲り受ける過程がとても大切になります。分娩のしづらい分娩台の仰向け体位を見直し、帝王切開を避けるために母親の「産む力」を磨き、自然分娩を見守る医療側の姿勢が整えば、このような問題が激減し理想的なお産が増えていくのです。

自然分娩は生まれた瞬間オギャーと泣き続けない

自然分娩でツルリと生まれてきた子は産道通過後に大泣きしない事が多くあるようです。実際にうちの子もそうでした。実は今回、父親が出産に立ち会うのを通り越し、助産師さんたちと一緒に我が子を取り上げ、出生後最初に抱っこをするという経験をさせてもらいました。うちの子の場合は産道から頭が出た時に2~3回オギャーと泣きましたが、それからはずっと静かにしていて、わたしの腕の中であたりをきょろきょろ見渡した後、ジーっとわたしの顔を見つめていました。普段わたしの皮膚を守ってくれている常在菌も我が子に速やかに移動しその役割を担ってくれたことでしょう。しばらくして母親の胸の上に抱かせてあげると、誰が教えることもなく、間もなく初乳を始めました。

自然分娩を推奨する医師たちの書籍を読むと、出産後赤ちゃんが泣き止まないのは、頭を鉗子(はさみ)でつままれたり吸盤にくっつけられて引っ張られたり、出てきてみたら過剰なライトがまぶしかったり、ハサミをもってる白衣の医師が怖いから泣いているのだと口をそろえて言っています。出生直後に泣きもせず元気そうにしている我が子を抱きながら、書籍の中の医師たちがいう事は「本当にそうだった」と実感しました。

また、この生まれて間もない30分~1時間以内に初乳をするという事にも大きな意味があり、これによって赤ちゃんの腸内細菌叢をさらに鉄壁へと強化する役割があるようです。しかし帝王切開などの医療介入があった場合は、部屋を隔離され数日間おっぱいをあげることができません。また赤ちゃんの「取り間違え問題」もこれが元で起きることが多いです。自然分娩の場合はお産してからずっと一緒にいますから、そんな重大な間違えはおこるはずもありません。

妊娠から陣痛、産道を介した分娩、そして初乳までの「自然お産物語」は、すべての過程に意味があり無駄がありません。上記の問題からも、妊産婦の状態を健全に守り、できるだけ医療介入無くして自然にお産を遂げる方針へ推進してほしいと切に願います。

産み綱は先輩母さんたちからのエール

この綱は「産み綱」と言います。この助産院でお産した多くの母親がこの綱にしがみついて、力を足腰に伝えて我が子を産み落としてきました。綱には先輩母さんたちが残した手垢がついており、これからお産を迎える新米の母親に、まるで「がんばって、もう少しよ」と勇気を与えてくれる息吹が込められているように感じます。妻のお産を終えた後に産婆さんが「ここ数年で一番いいお産だったわ」と太鼓判をくれ、ホッと肩をなでおろし、少しフラフラしながら朝の4時に助産院を後にして職場に向かいました。

陣痛促進剤を使わない自然分娩は時間を計れず夜中になる事も当たり前にあります。しかし自分たち都合でリスキーな促進剤を使うなどもっての他です。お産を待つ忍耐から、すでに親としてのトレーニングが始まっていると思えてなりません。

真夜中ではありましたが、無事にお産を終えた後は、妻も私も夜勤の助産師さんたちも、薄暗い畳のお産部屋で、心から新しい命を祝福し、皆が笑顔になり、なんとも幸せな時間を分かち合いました。本来のお産は、こんなにも感動的なことなのでしょう。

すでに母親になった方も、これから母親になる方も、そしてお母さんになる事を夢見る方にも、このコラムが目に届き、響いてくれることを願っています。

院長 カトキチ

参考文献
頑張れ助産院「自然なお産を取り戻せ」荒堀憲二 自然分娩推進協会
分娩台よ、さようなら 大野明子 メディカ出版
お産!この命の神秘 吉村正 きくちさかえ 春秋社
生物は重力が進化させた 西原克成 講談社
赤ちゃん進化学 西原克成 日本教文社
歩行と脳 吉田勧持 エンタープライズ
構造医学の原理 吉田勧持 エンタープライズ

協力
助産院バースあおば

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