ベンチプレスと障害 肩の障害について1
- 肩・腕・肘の症状
- 2020.02.16
男性でウエイトトレーニングを始める人のきっかけは、まず絞れた身体を得たいのと、大きな胸板に憧れによることが多いでしょう。
胸を大きくしたい場合の代表的なトレーニングが「ベンチプレス」です。ウエイトトレーニングの花形種目で、ジムに数台あるベンチプレスはいつも満員利用待ちの列を作っています。
ところで、私もトレーニングをはじめ20年経ちますが、あんなに好きだったベンチプレスをここ数年ほとんど使用していません。
なぜならベンチプレスによる負傷が年齢を重ねたことにより目立ってきたからです。ベンチプレスは確かに高重量を扱えて胸筋の肥大には一役買いますけど、その分身体への負担も大きいのです。
ベンチプレスは効果をうたうポジティブな記事が多いですが、今回はこれによる負傷について、少々ネガティブな記事を発信したいと思います。
ベンチプレスにより知らずと身体を痛めている方はとても多いはずだからです。
今回は「肩」の負傷について記事にしてみたいと思います。
長くトレーニングを続けていたら、おそらく一度は肩の障害を経験していると思われます。
ウエイトトレーニングは肩を壊しやすい運動がたくさんあるからです。上半身のトレーニングはすべて肩を使いますから壊すタイミングがたくさんあるのです。
とくにベンチプレスはそれが多い事でしょう。
なぜベンチプレスで肩を痛めるかというと、肩の解剖、関節可動域を知れば答えが見えてきます。
肩の一般的な関節可動域は以下の通りになります※もちろん個人差があります。
特にベンチプレスによる肩損傷に関わる部分は肩関節運動のうちの「水平伸展」になります。
図の一番下にある水平伸展の可動域は30度が平均です。私の場合は肩が固くて20度ぐらいでしょうか。
ベンチプレスの教科書というか、一般的な指導としては、下げてきたバーベルを胸につけ、胸筋を大きくストレッチしてからプレスする…と教わるはずです。その時は当然ながら、肘関節は90度に屈曲位になっています。
肘を90度に屈曲したままバーベルを胸に近づけると、これは胸板の厚さにも寄りますが、胸が薄い人は肩関節水平伸展可動域の30度を優に超え、さらに数十キロの負荷がかかっているわけですから、関節の位置関係を保つ沢山の靭帯組織や関節包を徐々に損傷し、負傷します。
さらにパワーリフターや、高重量でポジティブレップを行うとなると、反動を利用して挙げますので、その負担は二倍以上にかかるでしょう。
若いときは靭帯組織もみずみずしく弾力があるので、その分壊しづらいですが、私のように40代にもなると弾力の劣化が起きてきますので、痛める機会も多くなることでしょう。
しかもベンチプレスはバーベルを掴むことにより、肩の可動域をバーベルによって制限されてしまいます。これがダンベルになると、人間の防衛反応が働いて痛めそうな軌道を自然と回避しています。これによって随分と痛める可能性を低くすることができます。
とはいっても、やはり高重量を扱えるベンチプレスは筋肉の発達面においても捨てがたい種目。わたしも一時期は体重70キロの時に120キロまで挙げることが出来ました。
単純に重さを扱えるって嬉しいしカッコいいものです。その分怪我が多くて悩まされましたけども。
ベンチプレスを取り入れる際は可動域に気をつけながら、オーバートレーニングにならない頻度で上手に取り入れてください。
次回はライターの私がどんな胸のトレーニングをしているかについて綴っていきます。
つづく