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スキー・スノーボードの滑走と関節の潤滑理論 その一

  • コンディショニング
  • 2014.12.06

スキー・スノーボーダーで関節を痛めた方、解りやすく説明します

スキースノーボーダーで関節を痛めた方、解りやすく説明します

今年最大の寒波が到来し、いよいよ各地のゲレンデが明日からオープンのようですね。
スキー、スノーボードと聞くと、スポーツと言うよりはレジャーなイメージを持つ方が多いと思います。私自身もスノーボーダーですが、世の中のレジャーでこれほど危険なレジャーはないんじゃないかと思っています。リスクを考えずにレジャーの優しいイメージだけでやるものですから、怪我がとても多いんですよね。

今回はその中でもとても多い関節の負傷(※特に膝について)理解を深めていただきたいと思います。
解り易く理解してもらう為、関節がスムーズに滑る仕組みをワクシングに例えてお話させていただきます。

スキースノーボードと関節潤滑理論

スキーを置いただけでは滑らない様な緩斜面でも、人が乗ると滑りだします。
これは、板の滑走面と雪面の間に潤滑が達成したということ。具体的には、積もっている雪が板によって圧縮されることで、雪の分子が配列され、より滑りやすくなります。ですから、新雪を滑るよりも圧雪を滑った方がより早いスピードで滑ることが出来る訳です。

この時に、滑走面がケバ立っていたり、凹凸があると、摩擦抵抗が強くなり滑りが悪くなります。しっかりとワックスをかけ、滑走面を保護し雪温に合わせたワクシングをすると、摩擦が軽減し滑走スピードが速くなります。

それでは、よくある膝の障害で関節内の潤滑を説明していきましょう。
膝関節は大腿骨と下腿骨で構成され、関節包という袋でこれを覆い密封しています。なぜ密封が必要かというと、関節中に関節液を満たす必要があるからです。この関節液はやや粘りがあり、ヌルヌルとして潤滑の役目を果たします。

先ほどスキーで説明したように、潤滑にはスキーでも生体内でも「荷重」がその滑りを促します。
しっかりと正しい方向に荷重がかかるとこで、潤滑液の分子が配列し、関節面(スキーでいう滑走面)がスムーズな滑りを達成しているのです。

スキーでは滑走面にワックスを出来るだけ多く詰め込むために、何度か塗っては剥がしてという工程を繰り返し、滑走性能を長持ちさせます。人間では外から関節液(スキーでいうワックス)を注入する訳にはいかないので、自前の関節液を新生しいつも新鮮な潤滑液の状態を保つ必要があります。
その新鮮な関節液を産生するのに必要な所は滑膜という部分です。また関節液は関節内部で循環をさせないと古い関節液が溜まっていってパンクしてしまいますので、循環機構の存在が必要となります。

その循環機構で大きな役割をしているのが、一度は耳にしたことのある「関節軟骨」です。
関節軟骨は海綿状組織、いわゆる台所のスポンジのような組成です。スポンジをつぶした状態で水につけ、元に戻すと一気に水分を吸い上げます。それと同じように関節軟骨も荷重をかけた後、抜重をすることで関節軟骨の水分を吸い上げ、同時に滑液のもつ栄養素を補填し、もちつもたれつ循環を成り立たせているのです。

簡単に説明しましたけど、このことを現代医学では残念ながらよく解っていないので、痛めた首や腰の関節を牽引してひっぱるという暴挙にでます。引っ張れば引っ張るほど関節は滑らかな滑りを失い、関節内循環が破綻し壊れていきます。

つづく

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