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シップは意味がない?

  • コンディショニング
  • 2014.09.22

シップは冷やしたことにならない

“痛いところは氷で冷やす”
当院ではこのように指導しています。時折患者さんから「シップではダメですか?」と聞かれますが「シップではダメです。」とはっきり回答します。
なぜシップではダメなのかと言うと“シップは冷たい感覚がするだけで実際熱を奪っているわけではない”からです。どういうこと?と思われたかもしれませんが、シップが冷たいように感じるのは、メントールなどのひんやり感じる薬品が練り込まれているからで、実際に熱は取れていません。

ハッカの飴を舐めた時に口の中がひんやり感じるのと変わりがないということです。今のシップには非ステロイド性抗炎症薬が練り込まれていますので一時的に痛みを和らげる効果がありますが、要するに“痛み止め”なので、そのものが障害の治癒に役立つわけではありません。
また、氷の鎮痛効果と比較してもシップの鎮痛効果は微々たるものです。

シップは皮膚からの排熱を妨げる

シップは意味がない?

シップをよく貼る人は経験があると思いますが、貼る時はひんやりとするのに、数時間後、剥がす時はなんだか熱っぽい感じがします。
これは何かと言うと、ジェル状のもので皮膚を覆ってしまう為、皮膚の排熱が出来なくなってしまうからです。排熱が出来なくなってしまうと言う事は、時間を追うごとに熱が溜まってしまうと言う事。

つまり、むしろ患部の熱をこもらせてしまうという現象がおきてしまうんです。これでは本末転倒です。
多くの人が適正時間以上貼ることでこのような事態に陥っています。当院がシップを使用しない理由はここにもあります。

※湿布は冷やす効果がないどころか、皮膚を覆い排熱を滞らせるため局所に鬱熱しかぶれ(炎症)を起こしてしまうことがあります。

冷やそうと思って貼った湿布が、皮肉にも熱が溜まってしまったという結果です。最近ではステロイドを練り込んである湿布も多く、その副作用でさらに水泡形成などかぶれが酷くなるケースが増えています。

製薬会社の見解

大手シップメーカー(サロ○パスなどを売っている日本ナンバーワンのシップメーカー)の試験によれば自社シップ剤を貼った場合、冷感シップだと3度、温感シップだと2度ほど皮膚表面の温度は低下するとのこと。

しかもこれらの温度低下は湿布剤に含まれる水分が蒸発する時の気化熱によるものとされています。

さらにいうと筋肉は全く温度変化を来さないとはっきり試験結果を出しています。
大手のメーカーさんがこう述べている訳です。つまり、シップでは皮膚表面の温度が気加熱によって少し下がる程度のもので、患部の熱を奪う力はないと言う事です。

作っている方がそう言っているんだから間違いありません。ここで注目するところは、冷温シップ、どちらも表面温度が2度ほど低下していること。
温シップであれば温度が上がるはずと思っている方も多いと思いますが、温シップもトウガラシ成分などで暖かい感じがするだけで、実際は気加熱で熱を奪われ皮膚の温度が低下しています。

つまり、どちらも同じようなもので、用途の使い分けは「暖かい感じが好きか、冷たい感じが好きか」ぐらいのものとなります。

炎症している患部はヤカンにお湯が入っているようなもの

想像して下さい。お湯が沸いているヤカンを冷やしたいと言う時に、シップを貼ると考える人はまずいないでしょう。ヤカンの中で煮えくりかえっているお湯を冷やそうとすれば、それに見合った体積のものでドカドカ冷やす以外はヤカンを冷ますことが出来ません。

シップは意味がない?

そもそもメーカーさんが言っているように、シップは薬剤による鎮痛効果を狙ったもので患部の除熱を目的としたものではありません。ここに患者さんとシップメーカーとの認識相違があります。
※紛らわしい名前の付け方がそもそもの原因なんですけど。

膝や腰が痛くて関節が炎症している、患部の熱をとりたいと言う時に、シップでは皮膚の温度を少し下げるぐらいしか出来ませんから、やはりそれに見合った体積の氷で冷やすことが大切です。

以前からよくする表現ですが、湿布はやかんに湿布を貼っている様なものです。焼け石に水とも言えますね。 腫れて水が溜まっている程熱の体積があるものに、ぺたんとシートを一枚貼ってその熱がとれるわけがありません。体積に見合った冷却媒体が必要なのです。

アイスノンや保冷剤ではいけなのですか?

アイスノンでもいいんですか?これもよく聞かれます。アイスノンや保冷剤なら大きな体積を持っているし、冷凍庫でキンキンに冷えています。
確かにシップよりは冷却効果がありますが、アイスノンでは代用にならないと指導しています。何故かというと、アイスノンはジェル状の冷却材が主成分で、凍らすとマイナスの温度にまで下がっていきます。

マイナスの温度を持つと言う事は、相手を凍らせる力があるということ。つまり凍傷の危険性があるということです。日常診察していると、四角く火傷をした跡をつけて患者さんがいらすことがあり「保冷剤で冷やしましたね」と指摘するとドキッとした顔をします(笑)

そう、保冷剤の四角形くっきりに凍傷を起こしてくるんです。少々手間でも、氷を作って氷のうでしっかりアイシングをするように心がけて下さい。

おでこにつける冷却シートについて

子供が発熱した時に、よくおでこにシップを貼っている方を見かけます。通常のシップと比べて抗炎症剤などの有効成分が除かれたほか、あまり成分に変わりはありません。

ここまで読まれた方ならもうお解りかと思いますが、冷却シートも皮膚の表層を気加熱で奪うだけのもので、頭の中まで冷却できるものではありません。
東京女子医大小児科、社本先生の報告では、4~15才の入院中の患児15名に熱さまし用冷却シートの解熱効果について検討した結果、熱さまし用冷却シート使用前後で全例に解熱効果を認めなかったという研究報告が出ています。

むしろ長時間このシートを貼る事は、皮膚からの放熱機構を邪魔してしまう事で、脳の温度を上げてしまう事も予測できます。頭の中には沢山の水分があり、発熱した子供が40度近くあるとすれば、とてもじゃないけど一枚ペタンと貼って熱を奪う事はできません。

発熱は細菌やウイルスを殺菌する免疫反応の一つですから、まず慌てない事が大切。発熱時に心配な一つの要素は脳炎ですが、頭部を氷枕で冷やし熱を奪う事で脳炎はかなり予防できます。

またその時身体を保温する事で全身血行が生理的になり、熱の放散を促してくれます。体から汗がよく出てくるのでマメに衣服を交換してあげましょう。子供だけでなく、これらの対処は大人もまったく同じです。慌てて解熱剤、風邪薬を多量に服用したりしないよう注意が必要です。

多忙な環境を整え、心を落ち着かせ頭部を冷やし、熱が去るのを待ちましょう。

以上のことから、まったく意味がないとは言いませんが、出来るだけシンプルな診療を心がけている当院にとっては“必要ないもの”なのでシップを使用していないのです。皆さんにホイホイとシップを出すようにすれば当院は経営的にとても助かるのですが、ご家庭の冷蔵庫をシップ臭くしたくないのでそのような事はしません(笑)。

シップの効能に関しては多くの方が勘違いしています。これを機に正しい理解をしていただけると幸いです。

※発熱した子供によく貼っているところを見る冷却シートも、頭部の熱を奪ったという明確なエビデンスはありません。高熱の時は皮膚を覆って排熱を妨げてしまう訳ですから、貼らない方が賢明です。

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