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昨年相談件数の多かった脳脊髄液減少症および低髄液圧症について

脳脊髄液減少症という症状を聞いた事があるでしょうか。人の脳脊髄は脳脊髄液という液体で満たされていて、大切な脳脊髄を保護しています。
この脳脊髄液は中枢の働きでとても重要な役割を担っている為、必要量に満たされていないと様々な症状が起こりえます。
頭痛、目眩、しびれ、ふらつき、倦怠感、吐き気、自律神経失調、鬱症状までをも引き起こし、人間が起こすすべての不調が当てはまるかのような、とても広範囲な諸症状をだしていくものです。

ウィキペディアで記載されている脳脊髄液減少症の諸症状
頚部痛、全身倦怠、起立性頭痛、背部痛、視力障害、視力低下、視野異常、羞明、視覚異常、めまい、吐き気、聴力障害、顎関節症、頭重感、坐骨神経痛、上肢痛、顔面痛、筋肉痛、腰痛、肩甲骨間痛、脳神経症状、聴神経、耳鳴り、聴力低下、聴力過敏、耳閉感、三叉神経、顔面違和感 (顔面しびれ・顔面神経麻痺)、開口障害 (顎関節症)、迷走神経、自律神経障害 (動悸・発汗異常・体温調節障害・腸管運動障害等)、目のぼやけ、眼振、動眼神経麻痺(瞳孔散大)、眼瞼下垂、複視、光過敏、外転神経麻痺、味覚障害、嗅覚障害、咽喉違和感、発声障害、嚥下障害、高次脳機能障害、集中力低下、思考力低下、記憶力低下、鬱、睡眠障害、内分泌障害、月経異常、インポテンツ、乳汁分泌等、免疫異常、易感染症、アレルギー、易疲労感、食欲低下、電磁波過敏症、意識障害、無欲、小脳失調、歩行障害、パーキンソン症候群、認知症、上肢のしびれ、神経根症、直腸膀胱障害、頚部硬直、慢性脱水症状、痩せ 等

これまで低髄液圧症候群というのは、検査等で髄膜に注射をした際、その刺した穴から髄液が漏れるなどが主な原因でした。その他に交通事故などの外傷で突発的に髄膜に穴があき、この脳脊髄液が漏れる事があるようです。

この疾患は以前より存在し、それほど多い疾患ではありませんでした。しかしここ最近、この低髄液圧症の患者数が大幅に多くなったという事実があります。これはいったいどういったことでしょうか。

新たな疾病名「脳脊髄液減少症」

それは本疾患について詳しく研究している国際医療福祉大学熱海病院の脳外科医篠永教授がいくつかの学会と協力して、低髄液圧症の診断要素を大幅に広げたのがきっかけです。それまでも低髄液圧症はあったのですが、診断の条件が厳密だった為、稀な疾患として扱われていたのです。篠永教授は診断条件を大幅に広げ、今まで低髄液圧症と診断されなかった多くの不定愁訴患者に新たな診断名「脳脊髄液減少症」という疾病を作り対応する事にしました。

低髄液圧症は確定診断がない

この低髄液圧症(脳脊髄液減少症含める)が問題になるのは、現代医療の検査の中で、これがでたら確定といった確定診断になるものが存在せず、いくつかの検査結果を重ねて症状が一致した場合にこの疾病である可能性が高いという確率診断をとること。
つまり以前までの厳しい診断でも“100%この人は低髄液圧症”と言いきれないところがあるのです。
それでも信頼度の高かったモクリ博士の分類ではあったので、これに当てはまる患者はほぼこの疾病であったに違いがないでしょう。

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篠永教授の影響でこの疾患の患者数が増加し、いままで診断のつかなかった低髄液圧症の患者さんが広範囲に低髄液圧症となり、その群を篠永教授が提唱した疾病「脳脊髄液減少症」としました。
脳脊髄液減少症と診断した患者さんにブラッドパッチ等の治療を施す事で改善した方が多くいるようで、篠長教授の主張も一理あります。

しかしブラッドパッチは髄膜に穴をあけフィブリンを注入するというリスクを伴う治療法。
また今の検査法では確実な髄液漏れの場所をミリ単位で特定する事は出来ず、また続けていても効果がない例もあり、その場合は高い治療費とリスクしか残りません。その上で熟考して行った方が良いでしょう。

当院に来院された患者さん数人は「効果が認められなかった」方々でした。
今のところ副作用のリスクは少ないとされていますが、背中に穴を開け血液凝固因子を投入する以上リスクが無いわけではありません。

どうして脳脊髄液減少症がカトセイに?見えてきた論争の歴史

なぜ私のようなところにこの疾患の相談があるのか不思議に思い色々調べていると、見えてきたものがありました。
先ほど述べたようにこの疾患には確定診断が出来る検査法が未だになく、いくつかの条件が重なった場合にその信頼性が高いという確率診断をする事です。
そこで以前までの低髄液圧症の厳密な検査法を主張する関東中央病院脳外科の吉本教授と、広範囲な諸症状を条件とする熱海脳神経外科病院篠長教授の意見とが長年にわたって論争されてきていたのでした。

吉本教授が低髄液圧症と診断された場合は、かなりその可能性が高く高度な医療施設での治療が必要となります。
吉本教授はいままでの確定診断要素に忠実な為、稀であった本疾患通りそこまで多くの患者が低髄液圧症と診断する事はありませんが、診断した患者さんはほとんどの条件が揃っている為とても強い症状を訴えます。

しかし篠永教授の診断要素は広範囲な診断基準を設けた為、日常生活は出来ても不定愁訴を訴える様な、前者にくらべ比較的軽度な症状の人も脳脊髄液減少症と診断されます。
その中でブラッドパッチ等の治療を受け改善すれば良いのですが、それでも改善しない方もいらっしゃって、その大多数の方達は現代医療では手の打ちようがありません。
そして行き場を失った方の中の数人が当院へお越しになるわけです。わたしは奇跡的な診断技術で脳髄液漏れの場所を特定する事は出来ませんし、ましてや手技療法によって局所に血栓要素のフィブリンを送り込むような技術もありません。
しかし、この診断を受けて来られた方が当院の治療によって改善していった例がいくつかあります。

自覚症状に驚いた

以外で驚いた事は、篠永教授の著書「脳脊髄減少症を知っていますか」によると、一番の自覚症状は「頭痛」ではなく頚部痛にあるというところです。

交通外傷後に頚部痛が発生するというのは、これを脳脊髄液症減少症と診断をつける前から「むち打ち症」として多く存在していました。
しかしこのむち打ち症を現代医療が明確に治せるのかというと、長きにわたり後遺症裁判等で問題になっているところからも難しい事が垣間見れます。その難治なむち打ち症の中から、本当は高度な疾患の「脳髄液減少症」なのではと目をつけてきた経緯があるのでしょう。

従来からカトセイはむち打ち症に対応してきました

このような事故後の頚部痛に対して私達は従来から地域の皆さんに寄り添って対峙し、レントゲンに写らず診断がつかないような不定愁訴に対して力になってきた訳です。

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これまで脳脊髄液減少症の診断を受けお越しになった患者さん達も頚部痛を訴えている方は多く、当院ではそれとは無関係に頚椎の問題として処置を施し、それまで治らなかった頚部痛も徐々に回復させてきた経緯があります。

ただし、頚椎を含めた椎体関節が外傷によってズレや動きの悪さを呈していた場合、椎体の中には脳脊髄が通って脳髄液をいつも還流している訳ですから当然としてその影響を受け、脳髄液の流れを阻害し低髄液症状を出す事もあります。
その場合はそれら関節の不具合を除外する事で通常通り液体が流動しはじめ、ほどなく諸症状が消失します。

不調に陥ったきっかけは交通事故や転倒などで衝撃が加わった事の影響である事は確かにあります。
しかしもちろん程度にもよりますが“軽い”追突事故や転倒などの軽微な外力でいきなり髄膜に穴が開く程人間は欠陥品ではなく、まずは一番の中枢である脳脊髄を守る為に生物はあらゆる所が代償してくれるものというのが私の見解です。

その代償があった部分の動きを本来の動きに還元し、後は本疾患の療養で長期臥床して弱った身体を歩いて体力回復してもらう。実にシンプルなアプローチで問題解決した方も今まで多数いらっしゃいます。

脳脊髄液減少症と診断され、頚部痛等諸症状が強く、ブラッドパッチ等の処置を施してもなんら改善効果がないような中間層の方々に、当方はお力になれるかもしれません。
実は脳脊髄液減少症のような高度な問題ではなく、外傷によるシンプルな頚椎捻挫が様々な不定愁訴を出している可能性があるかもしれないのです。お心当たりある方は一度ご相談下さい。

加藤整骨院